「短期前払費用」を活用した法人税の節税!

利益が出ている法人が、決算月に必ずと言っていいほど検討するのが「短期前払費用(法人税法基本通達2-2-14)」を活用した節税です。

企業会計には、「費用収益対応の原則」という絶対的にルールがあります。
例えば、3月決算の法人が1月に年払いの保険料120,000円を支払った場合に1月~3月分の30,000円は当期の費用としますが、翌事業年度の4月~12月の90,000円については、「前払費用」として資産に計上し、当期の費用としないのが原則的な考え方です。(9万円は翌期の費用とします。)

一方で、「重要性の原則」というものがあり、重要性が乏しいものについては厳密に期間対応させなくても良いという考え方もあります。
そのため一定の要件を満たす前払費用については、その支払時に全額費用とすることができます。これを「短期前払費用」といいます。

ただしこの「短期前払費用」について、翌1年分を当期に払えばなんでもかんでも経費になるかというとそんなことはありません。

支出時に短期前払費用となるための要件は、次のように定められています。

【法人税基本通達2-2-14】
「法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める」

これを踏まえて、間違えやすい項目を記載させて頂きます。

支払家賃などを前払いする際、契約などは変更せずに勝手に前払いする。

契約上は、「月払い」となっているものを、勝手に前払いしても「短期前払費用」とはなりません。
必ず契約書や覚書で年払いの契約であることをお互いに合意する必要があります。
例えば、家賃で貸主が前払いはダメと言ったら、短期前払費用はできません。

上記と逆で、契約上は年払いとなっているのに決算月に支払いをしない。

「支払った」が要件ですので、必ず支払をする必要があります。

契約期間が1年を超えている。

支払日から1年以内にサービスを受けるものが対象ですので、例えば3月決算の法人の場合、4月~翌3月分であれば大丈夫ですが、5月~翌4月分を3月に支払った場合は、短期前払費用とはなりません。

その年その年で、年払い、月払いをころころ変える。

毎期継続する必要があるので、利益が出たときだけ前払いをして、赤字のときは月払いに戻すようなことを繰り返すことは出来ません。
ちなみに、このように考えると節税になるのは短期前払費用とした最初の年だけになります。翌期以降は結局12か月分を経費とすることになるので。

等質・等量のサービスではない。

短期前払費用は、支払家賃や保険料のように「等質・等量のサービス」であり、「時の経過に応じて費用化されるもの」であることが要件となります。
弁護士の顧問報酬や雑誌の年間購読料、期間限定のテレビCMなどは、これに該当しないため短期前払費用とはなりません。
(サービスが等質・等量でない費用や、1回につきいくらという費用は短期前払費用とはなりません。)

収益の計上と対応させる必要がある費用の場合

例えば不動産を転貸している場合に、その受取家賃は毎月収入としているにもかかわらず、支払家賃のみを年払いにした場合は、収入の計上と対応させる必要があるので、短期前払費用として支払時に損金とすることが出来ません。